こんにちは、元CAのSatomiです。
旅行は好きだけど、飛行機に乗ってもし機内で突然体調不良になったらどうしようという不安はありませんか?
私も経験がありますが、機内での体調不良は突然やってきます。
あ、ちょっと深刻かも…と思った時には立ち上がれないほど悪化していることも。
日本のエアラインや日本人CAがいれば症状なども伝えることができるかもしれませんが、もし近くに日本人がいない場合は英語で伝える必要があります。また、応急処置を知っていれば自分で対処できる場合もあります。
CAは救急看護(ファーストエイド)の訓練も受けていますので、体調不良を感じた場合はまずは我慢せずCAに伝えましょう。海外のエアラインで伝えるための英単語と、併せて自分でもとっさにできる応急処置や未然防止法もこの記事で教えます。
機内で体調不良が起こりうるリスク
早朝や真夜中の出発など普段と違う生活リズムや寝不足に加え、気圧の変化や旅行に向けた緊張、疲れなどで体調不良を起こしやすい環境になります。飛行機は誰にとっても体調不良になりやすい場所であるということを覚えておきましょう。暑い寒いの空調調節も自分で管理できませんし、エコノミークラスでは長時間座った姿勢のまま過ごさなくてはいけません。しかし体調の変化を軽く見てはいけません。後遺症になったり、症状によっては早期処置をしないと最悪死に至る場合もあります。
- 環境:エアコンの温度調節が自分ではできない、乾燥
- 気圧の違い:頭、耳、歯、関節の痛み、体内のガス膨張、お酒がまわりやすい
- 緊張や疲れ:肉体、精神的ストレス
- 長時間同じ姿勢:血液の流れが悪くなる
体調不良を感じた時の対応策
すぐにCAを呼ぶ:自分で間違った対応や我慢をする前に、呼び出しボタンですぐにCAを呼びましょう。CAは救急看護のマニュアルを持っているので、症状に合わせた応急処置をしてくれます。また、隣席が空いている座席やお手洗いの近くに席を移動してくれる場合もあります。場合によっては医師呼び出しアナウンスをかけてお客様の中にいる医療従事者の指示を受けることもあります。
常備薬を手に届くところに持っておく:体調不良で思ったように動けず、薬を取り出すのも辛いことがあります。頭上の物入れに入れてしまったり、預け荷物に入れてしまうといざという時に取り出せません。お水も合わせて手元に持っておきましょう。
機内でよくある体調不良の事例と応急処置
機内の特殊な空間で起こりうる体調不良の症状の英単語と応急処置の対処法です。海外エアラインの場合はこの単語を伝えるとスムーズです。動詞はhave、またはgetを使うと伝わります。
耳痛(Earache/イヤーエイク)
I have an earache.(耳が痛いです)
離着陸時の急激な気圧の変化で耳管が閉じたままになり、鼓膜の内側と外側で圧力の差が生じて耳が痛くなることがあります。風邪や鼻づまりの時は特に起こりやすいです。
対処法
飴をなめる・水を飲む・冷やしたタオルや氷を耳を冷やす・鎮痛剤を飲む・耳抜き(バルサルバ法)をする
*バルサルバ法:鼻をつまんで空気を吸込み、口を閉じて吸い込んだ息を耳へ送りこむ方法。スキューバダイビングでも用いられる。強くやりすぎると鼓膜を傷つける可能性があるので注意。
乗り物酔い(Airsickness/エアシックネス)
I’m getting airsickness.(飛行機に酔いました)
飛行機は揺れる乗り物です。離着陸は想定できますが、飛行中に突然情報なく突然激しい揺れが起こることもあります。長い時は数時間揺れが続くこともあるので、乗り物に自信がない人は事前に酔い止めを飲んでおくことを推奨します。酔い止めは効果が出るまでに30分から1時間ほどかかると言われています。
対処法
酔い止めを早めに服用する・気持ちが悪い場合は吐く・ベルトやシャツなど服を緩める・座席を倒してお腹が圧迫されない体勢をとる・空腹や食べ過ぎを避ける・冷たいタオルを額にあてる・座席上の空気口を開けて冷たい風を浴びる
貧血(anemia/アネミア)・貧血で倒れる(faint/フェイント)
I have anemia.(貧血です)I’m going to faint.(倒れそうです)
貧血だと感じた場合にはもう起き上がれない、または倒れる場合が多く、機内ではほとんどfaint(フェイント)の単語を使っていました。気持ち悪くなりお手洗いに向かう途中の通路やお手洗い前で倒れる方が多かったです。
エコノミーの座席で座った状態で長くいる場合、機内でお酒を飲んだ場合などに起こりやすいです。
対処法
横になり足を上げて頭を低い位置に持ってくる。(血を頭に送るイメージ)横になれない場合は、座席に座ったまま頭を足の間に下げて、頭の位置を低くする。
腹痛(stomachache/ストマックエイク)・便秘(constipation/コンスティペイション)・下痢(Diarrhea/ダイアリア)
I have a stomachache.(お腹が痛いです)
気圧で胃腸内の空気が膨張することで腹痛を起こすことがあります。また、海外旅行から帰る際は現地で食べたものや感染症が原因で下痢になる場合もあります。症状がある場合は早めに客室乗務員に伝えましょう。トイレの近くの座席に移動できたり、優先的にトイレを使わせてもらえたりします。
対処法
ブスコパンのような消化器官に効く薬を服用する。食べ過ぎ飲み過ぎに注意をして、消化が良いもので適切な量の食事をする。下痢の場合は脱水症状にならないよう水分を適度に摂る(冷たいものや刺激のある飲み物は避ける)。
やけど(burn/バーン)
I get burned. (やけどしました)
機内サービスの熱いコーヒーやお茶などをこぼして火傷をする事象はかなり多いです。場合によってはエアライン側の責任になることもあるので、お互いの利益のためにも温かい飲み物の扱いには十分注意しましょう。本人だけでなく、隣席の人にこぼしてやけどさせてしまうというパターンも意外と多くあります。
対処法
やけどをしたら速やかに冷やすことが大切。流水に患部を当て15〜30分ほど冷やし続ける。皮膚にくっつく恐れがあるので、氷を直接肌に当てたり、ドライアイスの使用は避けましょう。座席にある吐袋に水と氷を入れて氷のうにして冷やす方法もありますが、患部を冷やしすぎると凍傷になるので注意が必要です。
エコノミー症候群(Economy class syndrome/エコノミークラスシンドローム)
狭い座席に長時間同じ姿勢で座り続け足を動かさないことで、血液が固まってできた血栓が肺動脈や肺に詰まって発症する病気で、呼吸困難や意識障害、動機を引き起こします。重症化すると命の危険を及ぼすこともある恐ろしい病気であることは意外と知られてないかもしれません。脚のむくみ、腫れ、痛み、特に脚の太さの左右差を感じたら、エコノミークラス症候群になりかけている可能性もあります。
対処法
予防が大切です。長時間同じ姿勢にならないように少し歩き回ったり、足首や足だけでも動かしたりマッサージをして血栓ができないようにする。食事や水分をしっかり摂って脱水状態にならないようにする。
*血栓ができた状態でマッサージすると血栓が移動してしまい更に危険な状態になるので、症状を感じた場合はマッサージは避けてください。
番外編
ダイビング後の気圧差の注意
スキューバダイビング後まもなく航空機旅行をすると、飛行中の機内は地上より気圧が低いために減圧症を起す危険があります。初期症状は手足の関節痛です。もし症状を感じたら、乗務員に申し出て安静にして、保温に努めましょう。 ダイビング後、少なくとも24時間は航空機旅行を避けるようにしましょう。
まとめ
機内での体調不良がトラウマとなり、以降飛行機に乗るのが怖いという方もたくさんいらっしゃいます。体調不良を引きずって旅行が台無しになってしまったり、旅行自体が嫌いになってしまうことはとっても残念ですよね。
体調をコントロールするのは難しいことではありますが、事前の準備と飛行中の注意を守ることで不安やリスクを軽減でき、より安全な旅行ができるはずです。
この記事が皆さんの旅で少しでも安全で快適なものになりますように!